世界中で活動制限が緩和され、スポーツ活動が再開されてきました。ほとんどのトレーニングジムやスポーツ施設が2か月以上閉鎖されていた中、世界中のアスリートは、どのような活動をしていたのでしょうか。
今回は、オーストラリアの女子ラクロス選手である、ヘイリー・ソファーノス選手に話を伺ってきました。自宅でのどんなトレーニングに取り組んでいたのか、さらには、ロックダウン後の抱負についてお話していただきました。
お話を聞く前に、ソファーノス選手がどんな方なのか、少しだけ紹介をしていきましょう。
彼女は5歳の時にラクロスを始めました。その後、クラブチームや州代表チームで活躍し、2007年には19歳以下オーストラリア代表に選出されるようなトップ選手へと成長。さらに、2017年に開催された女子ラクロス・ワールドカップにて、オーストラリア代表として世界第4位に輝きました。
女子ラクロス選手として世界トップクラスのソファーノス選手が、この期間にどのようにトレーニングを行っていたのか、そのアプローチをお聞きしてみましょう。
『ロックダウン中のチームの反応』 この自粛期間というのは、非常に大きな挑戦でした。特に、チームでのトレーニングに多くの時間を費やす環境に慣れていた我々にとって大きな機会でした。チームでのトレーニングを行うことが難しいこの期間は、どうしても個人でトレーニングしていく必要性がありました。しかし、私たちのチームでは選手みんながこの状況に上手く適応できたのではないかと感じています。結果的には、それぞれがハードワークすることができたのではないでしょうか。
この状況の中、私たちは、チームのS&Cコーチであるベイカー氏の発案で、自宅でのトレーニングセッションに、【「アイソ・フレンドリー(込められた意味:孤立に親しむ)」】と言う言葉を掲げました。自宅でのトレーニングにより親しみを持てるように工夫をしてくれたんです。この自粛期間は、いつものようなチームトレーニングはできませんでしたが、個々のスキルやフィールド外でのチームの関係性に焦点を当てる、絶好の機会だったと思います。
ただ、自宅でのトレーニングもすべてが整っていたわけではありません。トレーニング用具を入手するのも大変でした。この外出制限によって、多くの人は日用品を大量購入に加え、自宅でのトレーニング器具も購入していたんです。
そのため、トレーニングジムを利用できない、新たな器具も手に入れられない中で、多くの人たちが既に自宅にあるものを使ってトレーニングをするようになりました。
『ソファーノス選手のロックダウン中の活動』
幸運にも、私はいくつかのトレーニング器具を借りることができました。おかげで、活動制限の影響を最小限に抑える事ができたと思っています。また、私の夫もオーストラリア代表の選手だったこともあり、一緒にトレーニングできるパートナーもいました。パートナーと一緒に毎日トレーニングできることは、間違いなく大きかったと思っています。
COVID-19のパンデミックは、私たちのコミュニティとの関係性を維持、改善するための新しい方法をもたらしてくれました。 家にいる間でも、今まで以上にコミュニティとの繋がりがもてるようになったのは、とても素晴らしいことだと思っています。私たちのチームは、ウォールボールチャレンジという取り組みやオンラインでのワークアウトの実施を通じて、チームと頻繁に連絡を取り合うことができました。 これは、多くのアスリートも同じだとは思いますが、こういった私たちの周辺にある繋がりが、このパンデミックの期間、さらにはアスリートキャリア全体を通して、大きなサポートになっていると感じました。
また、オーストラリアのラクロスネットワーク(ALN)は、ラクロスのコミュニティがより親密で充実した繋がりを維持できるよう、素晴らしい仕事をしてくれました。
私は、本当に優れたプロフェッショナルの方達とともに、素晴らしい施設でトレーニングできていることに、非常に幸せを感じています。
『ロックダウン中にSPT GPSでトレーニング負荷を管理』
パンデミックの前に、オーストラリア代表ラクロスチームは、選手たちにSPT GPSを配布し、コーチングスタッフが選手のトレーニングをリモートで確認できるよう、サポートを行ってくれました。 SPTが使えたことは、本当にいい機会になったと思っています。これまでにきちんと把握してこなかったトレーニングの負荷が計測できるようになりました。トレーニングセッションをより深く知れるようになっただけではなく、オーバートレーニングを回避することも役立ちました。
まだ全ての機能を最大限に活用し切れてているわけではありませんが、この期間で活用が進んでいくことにとても興奮しています。
『ソファーノス選手のこれからの抱負』
COVID-19が原因で、私たちのオーストラリアでも、2020年4月に予定されていたラクロス全国選手権が中止になりました。当初の計画どおりの準備ができなかったことは確かに残念でした。
ただ、この問題は私たち自身や私たちのスポーツよりもはるかに大きいことです。私たちは、この新しい状況に対応する必要があると思っています。 私たちには、この状況下でも、それに対応した新しい形のプログラムを私たちに提供し、しっかりと導いてくれた、信じられないほど素晴らしいチームスタッフがいます。2021年7月にある女子ラクロス・ワールドカップに焦点を合わせて、何が起きても、引き続きハードトレーニングを続けていきます。
『さいごに...』
いかがでしたか?
私は、この記事を作成しながら、トップ選手の環境変化に対する適応力の高さを、改めて感じさせられました。
この期間は、自らのパフォーマンスを高めるだけではなく、普段はあまり感じる事ができない周囲のコミュニティとの繋がりを、より強固にしてくれたのではないかと思います。
また最近は、トレーニングの平等性とは、全員に同じメニューを与えるのではなく、選手のメンタル、パフォーマンスに応じた個別のメニューを提供する事だと、考えるようになりました。GPSでは、選手のメンタルを測ることはできませんが、パフォーマンスの目安を計る事ができます。こういった機器をして、選手に応じたトレーニングを考えてみるのはいかがでしょうか?
『筆者 Daisuke Matsuuraについて 』
関西大学大学院卒。オーストラリア、ニュージーランドでラグビーコーチング、分析等を学び、現在はニュージーランドと日本でラグビーコーチ/アナリストとして活動中。コーチとして、ラグビーワールドカップの優勝を目指している。今後は、ヨーロッパやアルゼンチンへ活動を拡げようと計画中。言葉、映像、環境を操り、人との繋がりを大切にして、選手のパフォーマンス向上とチームの勝利を目指しています。
SNSにて、最先端のラグビーコーチ、アナリストとしての活動内容を日々投稿中!!
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